立体土間の家1998年 岩岡竜夫研究室

    
    
■設計概要
 住宅は、あらゆる建築物の中で最も小さく単純でありながら、ひとつのまとまりのある形態と機能をもち、我々に最も身近で日常的な空間を提供している。 こうしたことから、住宅は設計者にとってひとつの表現対象として成立するとともに、 一方ではその計画やプログラムが一種の制度化されたステレオタイプに陥りやすいことも確かである。 現代の住宅設計にみられるデザイン(形態の修辞)と計画(プログラム)の乖離はそのことを端的に表している。
 <土間>という空間領域は、日本古代から様々な形態や機能を与えられながら変化してきた。それはもともと土床(たたき)のスペースを意味するが、 内部と外部の中間領域、あるいは各部屋(または各庭)を連結する場所などとしての性格をもちあわせており、 あるいは住宅内部(建築)に外部環境(ランドスケープ)が侵入している領域であるともいえる。本計画は、 この土間-DOMA-により構成された現代の居住環境を提示するものでる。
    
  
□敷地は、信濃川の支流である奈良井川の土手沿い道路に面しており、また松本市街と上高地を結ぶ国道158号線に程近い場所に位置する。 敷地の地盤面は、西側の農業用水路と同レベルにあるが、その後の河川敷整備の影響で、東側の接続道路面は既存の擁壁により地盤面から約2メートル高くなっている。 そのため建物へのアプローチは必然的に2階部分からとなる。また、敷地の南側および北側には3階建ての隣家が近接している。 敷地を取り巻くこうした環境条件によって、レベルの異なる3つの外部領域、 すなわち<西側用水路に隣接する1階ピロティ部><奈良井川土手及び前面道路に連続する2階エントランス部><採光を取り入れるための3階ベランダ部>が設定される。 この建物では、それぞれの領域を相互に連絡する動線部が外部(=土間)化されており、 それによりキュービックな内部ヴォリュームの中に外部空間が包含された状態をつくっている。 この土間空間の形態はまた、建物の内部空間を仕切り、さらに各階を繋ぐ内部動線の位置を決定している。

■建物名称
 立体土間の家
■場所/竣工年
 長野県松本市/1998年
■意匠設計
 岩岡竜夫研究室(担当:大宮司勝弘)
■構造
 団設計同人(担当:岩田孝)
■設備設計
 岩岡竜夫研究室
■施工
 岡江組(担当:岡江正、藤田寛)
■地域地区
 近隣商業地域+第1種住居地域
 法22条指定地域
■建物用途
 専用住宅
■構造/階数
 鉄骨造/地上3階
■敷地面積
 120.34m2
■建築面積
 82.81m2 68.8%<78.2%
■延床面積
 137.67m2 114.4%<200%